ベイジアンネットワークの初回の講義、顔合わせ

投稿者: | 2009年10月1日

講義風景

大学院理学研究科「複雑系概論」、理学部「応用数理学9」の講義(木曜4時間目)が始まった。

講義の初回というのは、学生のどういうメンバーが受講するのか、自分のねらい通りの講義ができるか、わくわくするものである。開幕投手のようなものかもしれない。このテキストと講義は、オリジナル的な色彩が強い。ベイジアンネットワークWというと、ビジネスとして利益が出ないと意味がないと考える人もいるかもしれない。情報工学というよりは、情報数理学に関する講義といった方が適切であろう。

正直な話、第1章(確率論W)は、学生にとって理解しにくいかもしれないと思っていた。講義の概要(スライド「講義の前に」)を説明した後、1章の「1.1 集合」(スライド「第1章確率論の基礎 1.1 集合」)の話をした。集合というよりは、σ集合体上の測度、もしくはルベーグ積分、さらにはラドンニコディムの定理についてであった。幸いなことに、学部4年生と大学院の後期の講義ということもあって、ルベーグ積分の講義をとっている学生が大半であった。ごくごく簡単なことしか用意していなかったこともあったが、証明しようとすると、それはわかりきっているのでしなくてもよいという表情の学生もいた。ただ、解析の予備知識の無い学生もいた。応用系の科目なので、前提知識に差が出るのは、ある程度やむを得ない。

ベイジアンネットワークに限らず、確率的知識情報処理で、測度論Wを勉強しないで論文を書いたり、システムを組んでいる人は多い。ただ、そうすると、離散分布と連続分布という、特殊ケースしか扱わないことになり、確率論の2個の例を勉強する形になる。また、分布関数が連続であっても、確率密度関数が存在しない場合もある。難しいことを避け、それで論文の件数が増えればといとする傾向もあるようだ。ただ、ラドンニコディムの定理をやらないと、確率というものの全体が見えてこない。条件付確率WKullback-Leibler情報量Wの定義もできない。ベイジアンネットワークを勉強するのであれば、まず確率の達人にならないといけない。その準備体操をするのが、1章の「確率論の基礎」である。基礎というのは、introductionという意味ではない。むしろfoundationである。しっかりした基礎がない状態では、その上のどんな研究もぐらついてくるという意味である。

<<初回の講義スライド>>

講義の前に


第1章確率論の基礎: 1.1 集合

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